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会談前に、韓国の李在明大統領(左)と握手する石破茂首相=2025年8月23日、首相官邸、代表撮影

 韓国を訪れた中谷元・防衛相は8日午後、韓国の安圭伯(アンギュベク)国防相と会談した。日本の防衛相の訪韓は10年ぶりで関係改善の意味はあったが、具体的な防衛協力にはほとんど踏み込まなかった。石破茂首相は8月の日韓首脳会談の後の共同記者発表で「両国を取り巻く戦略環境が厳しさを増すなか」と発言していたが、このままでは両国の安全保障が危機に陥りかねない。

 政治専門サイト・ポリティコは5日、10月にも発表される米国の「国家防衛戦略(NDS)」について、米軍として国内任務を優先する方針を明記すると伝えた。ポリティコはNDSの草案について説明を受けた3人の関係者の話として、従来の方針から転換し、中国の脅威への対応に重点を置くことになると指摘した。

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 米国が東アジアでの軍事活動を再編・縮小する場合、朝鮮半島での日韓の安全保障に深刻な影響が及ぶ可能性がある。

 複数の日本政府当局者によれば、日本は朝鮮半島有事の際、在留邦人や旅行客の退避計画を保持している。民間機が運航している間に大半を出国させる方針だが、間に合わなかった場合、特定の場所に邦人を集めて待機させる。その後、前線拠点に兵士や物資を運んだ米軍機に同乗させてもらう方針だという。

 日本政府当局者の一人は「集合拠点の警備も米軍が行う手はずになっている。米軍の関与が下がる場合、計画の練り直しを迫られるかもしれない」と語る。

韓国側は安保協力推進で「国民の支持を失う可能性」

 韓国にとっては、より深刻だ…

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